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K田さんがかわいかったこと

仕事をぶっとばして、どきどきしながら東中野の神田川のお花見へ行ったら(どきどきしながら、というのは、このお花見では一年に一度だけしか会わないようなひとに会ったりするので、つつがなく、首尾よく喋ることを考えているあいだに緊張してくる)、明日ケッコン式をするというK田さんがかわいくてかわいくて仕方ないのだった。K田さんは私に向かって「よくきけー」という眼をして、「ずーっとケッコンするの嫌だったんだよ。制度なんてばかばかしいと思ってたしな。でも40過ぎて、今回は、その制度をやってやろうって思ったんだよ!」と力をこめて言った。私が「そうかぁ、制度をドゥーしてやろうって思ったんだ!」というと、K田さんはわははははは!と笑って、「そう、ドゥーしてやろうと思ったのー!」と言った。
K田さんがお酒をたくさん飲んでとても愉快そうで、それはこれまで毎回お花見で見ていたK田さんととても違って、夜8時になっても9時になってもすっと立ってそそくさと帰ったりしない。わたしとはじーに向かって、「あんたたちは若いときから一緒に住んで、お互いに友達を家に呼ぶのが当然と思ってるかもしれないけど、当然じゃ、ないの! 奇跡なの!」と言って、わたしの肩をがしがしっとつかんでゆすった。そのK田さんはこんど、お互いに友達を家に呼ぶのが当然とおもえるひととケッコンするのだ。奇跡をドゥーしたK田さんはほんとうにかわいくてかっこよかって、あー、早く、K田さんのおうちに遊びにゆきたい。