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浮かんで飛ぶ

八月の終わりに江ノ島へ行った。西浜の海の家でパーティーを主催した夏から、もう十年ちかく経っている。海の家に来る人は移り変わって、記憶にあった場所とはもうだいぶ違っている。騒々しいと感じる。その嫌悪感が、自分の年齢があがったせいなのか、海の家が変わったせいなのか、はっきりとわからない。頼んだ飲みものをごくごく飲んで、逃げだした。

浜辺の海に、かもめの群れが浮かんでいた。飛び交っているしおからとんぼを食べるのかもしれない。ライフセイバーの格好をした人がひとり、訓練なのか、視界の左のほうから泳いできて、その群れのなかへすーっと入っていって、視界の右のほうへ泳いでいった。かもめは泳いでくる人を避けて、少しずつまとまって飛びあがる。
海は好きだ、けど海のうえに二本足で立つことはできない。

デング熱の報道が出てからは、代々木公園に行っていない。一度イベント広場を横切ったけれど、閑散としていた。早く秋になれ。早く蚊の季節よ終われ。
代々木公園がなくなったら生きていけないと思う。
空白になれる場所がなくなったら生きていけないと思う。