働かない日の銀座

私、働かない日に銀座に行くのはとても珍しい。私の働かない日、銀座は歩行者天国資生堂ギャラリーで「初心」展をみて、三角みづ紀さんの詩が載っている花椿を手にいれて、あまりにもパッケージのかわいいボンボンフロマージュをうろうろと買って、歩行者天国の歩行者のひとりになって、ぽかぽかと電車に乗って、帰ってきた。休日の人たちの顔、どれもぽかぽかして見える。

行きも帰りも、耳にあいほんのイヤホンを繋いで、矢野顕子さんがピアノで歌う「赤いクーペ」を聞いていた。ひのやまの ひろがる その ゆるやかに ほどける みちを。モーツァルトが うたってくれる。矢野さんの歌う赤いクーペは「裾野」じゃなくて「その」。この「その」が好き。

銀座はとても晴れて、人が大勢いた。ついこないだまで松坂屋があった場所が更地になっていて、工事の白い壁の向こうに、エメラルドグリーンの重機の背骨が見えていた。