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今日の風景(9/16)

三角みづ紀さんの朗読をききに、京橋へ行った。

台風がきたので、この連休に静岡へ行こうとしていたのを延期して、台風が去ったので、朗読会へ行くことができたのだった。久しぶりに聞く三角さんの声が、あー、あー、と浸みた。朗読のあとには、会場のすみにきれいなお姉さんのコーヒー屋サンが出現して、おいしいレモネードを飲んだり、手作りのおいしいパウンドケーキをいただいたり、少しぶりのOさんに遭遇してお喋りできたりしてたのしく、朗読会、かくあるべしと、おもわれた。行ってよかった。あとたぶん、私は旅寝の詩がどうしたって好きなのだ。三角さんが今回朗読したのは、スロヴェニアから、イタリア、ドイツを旅するあいだに、毎日ひとつずつ書いた詩ということだった。私は、自分の詩集が完成してからここ数週間、魂が抜けたようにぽかんとしていたのが、やっと地上に戻ってきたここちがした。

帰りぎわ、その旅の途中に三角さんが集めたというポストカードを一枚おみやげにどうぞと言われて、後ろに並んでいる人のいないのを確認してから、そのどっさりある束を一枚ずつぜんぶ真剣に見て、きれいな水色の、駅舎か学校のような建物の写真のポストカードを選んだ。よく見ると、それが駅舎でも学校でもないことは、薄い靄のかかったような天気のなかのその無人の建物を写した写真がきちんと語っているようにおもわれた。裏に、オラニエンブルグと書いてあった。ポストカードの束のなかには、リベスキンドのユダヤ博物館の写真もあった。朗読のあいだじゅう壁に映し出されていた写真のスライドショーのなかには、ビオナーデが二本並んでいるのもあった。会場を出て、私はトートツに、ベルリンがなつかしくなった。