ひさごや

ひさごやが、なくなった。
ひさごやは、女がひとりで切り盛りする店だ。
ひさごやは、おむすびや団子を売る店だ。

 

ひさごやが予定外にやすむとき、
出来たてのおむすびの名前を貼りだすとき、
いつも同じ筆ペンの字体だった。
あれはあのおばさんの、字だったのだろうか。
たぶん、そうだと思う。

 

ひさごやは、なくなったのではなくて、八王子に移転したらしい。
でも、私の町からは、なくなってしまった。

寂しい。