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きょうの風景(5/5)

満月と、月が楕円状の周期のなかで最も地球に接近するのが重なる日だった。23時に、日本の原子力発電所がぜんぶ停止するので、そのカウントダウンの集会が代々木公園でひらかれていて、おおぬきさんたちが出掛けているというので、どんなふうになっているか観察しに、はじーと散歩がてら出掛けた。DJブースはステージ上ではなくて、歩道脇に設置されて、夜店みたいにピカピカ光っていた。その隣にテントがひとつだけ設営されて、お酒とホットドッグ的なものを売っていた。歩道を挟んで公園の端に、というかほぼ歩道も埋めながら、人が音楽を聞きながら揺れていて、写真や映像でしか見たことのない70年代の風景みたいだった。はじーはおおぬきさんに、初めてきちんと自らの原発に関する立場を述べたらしい。月のことと原発停止のことを並べて象徴的に話している人もいた。DJブースから少し離れた広い階段の下で、聞こえてくる音楽をBGMに、おじさんが地面に寝るしたくをしていた。23時が近づくにつれて、いちばん熱狂的な感じで聞こえてくる声は、「ここで気を抜いちゃいけない」けど、「今日は祝おう、騒ごうぜ」というメッセージを伝えていた。でも、踊っている人たちの大部分はそんなに熱狂しているわけではなくて、ただ音楽をゆらゆら聞いている人たちに見え、その人たちの隙間で私もゆらゆらして、気持ちよかった。みんなでカウントダウンをして、23時になると、拍手が起こった。
缶ビールを飲みながら座っていたベンチで、しのちゃんが、旅行してきたばかりのタイの写真を見せてくれた。料理がぜんぶおいしくて安いんだそうだ。タイのクラブは、さっぱりした若々しいライブっぽいノリだったそうだ。アンコールワットの、カラフルな花のレリーフがとてもきれいだった。