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「ラブレター」ななおさかき

半径 1mの円があれば
人は 座り 祈り 歌うよ
半径 10mの小屋があれば
雨のどか 夢まどか
半径 100mの平地があれば
人は 稲を植え 山羊を飼うよ
半径 1kmの谷があれば
薪と 水と 山菜と 紅天狗茸
半径 10kmの森があれば
狸 鷹 蝮 ルリタテハが来て遊ぶ
半径 100km
みすず刈る 信濃の国に 人住むとかや
半径 1000km
夏には歩く サンゴの海
冬は 流氷のオホーツク
半径 1万km
地球のどこかを 歩いているよ
半径 10万km
流星の海を 泳いでいるよ
半径 100万km
菜の花や 月は東に 日は西に
半径 100億km
太陽系マンダラを 昨日のように通りすぎ
半径 1万光年
銀河系宇宙は 春の花 いまさかりなり
半径 100万光年
アンドロメダ星雲は 桜吹雪に溶けてゆく
半径 100億光年
時間と 空間と すべての思い 燃えつきるところ
     そこで また
     人は 座り 祈り 歌うよ
     人は 座り 祈り 歌うよ


(1976年春)
思潮社刊「ココペリの足あと」より)