blanclass/夏の夜がやっと涼しかった

土曜日、blanclassだった。渡邊聖子さんと飯島剛哉さんの公開制作だった。
blanclassは横浜から京浜急行で五駅の井土ケ谷という場所にある。井土ケ谷におりて歩いていくと、夜のセミの声がだんだんよく聞こえてきて、緑のぶあつい感じが肌に迫ってくる。
blanclassに行くのは二度目だった。少し遅れて会場(秘密基地のような家の二階)に着くと、いんげんのごまあえと里芋がゆが用意されていて、飲みものを買って入ると、飯島さんは壁紙のロールを床に転がして寸法を測ってそれを切っているところ、聖子さんは石の写真をプリントアウトしているところだった。
この場所に来ると、偶然ここに集まった初めて会う人たちとスッと言葉を交わせるのが、一回目も二回目も不思議で、愉しかった。最初それはヨーロッパみたいだと思ったけれど、よく考えたらヨーロッパのどこにそんな場所があるのかよくわからず、そうではなくて大学の雰囲気に似ているのかもしれないと思った。開け放たれた大きな窓のむこうの暗闇から大きな虫が一匹入ってきて、白い蛍光灯にばちんばちん当たった。たのしい人たち、また会いたいと思う人たち、Oさん、Oさん、Sさんと知り合った。
annaがtwitterにかいていたように、公開制作というのはつくるのを見せるではなく、対話する、だった。何度も床に並べ直されて少しずつ移動してゆく石の娘/写真(群)をみて、また何度も床に敷かれ、巻かれ、を繰りかえす壁紙(群)をみて、川の時間のようなものを思った。聖子さんは白地に紺で群島の地図のようなものがかいてあるワンピースを着ていた。飯島さんはつばの短い黒い麦わら帽子をかぶっていた。

きょう(日曜日)、幡ヶ谷にカフェりに行った。途中、代々木のスポーツセンターにぞくぞくと人が、少年野球のチームらしい集団や家族連れが集まってくるのとすれ違った。暑くなると人はスポーツセンターに集まるのかな、わたしはそれを見ていたらプールに入りたくなった。プールに入りたい。家でやる子供用の丸プールでもいい。六号通り商店街の先のモスバーガーはクーラーが効きすぎていて、体の芯から冷えきった。駅前の本屋で「大奥」6巻を買って、ドトールで一気読み。夜、ハイボールをつくって、ハイジの続きを見た。最初から最後まで(あの有名なラストシーンのほかは)初めて見るはずなのに、ハイジがフランクフルトでの生活に耐えられなくなって、夢遊病になって、その白い影が嵐の夜に屋敷の人たちを怖がらせるというくだりを、わたしはなぜか知っていて、どこでそれを見たのだか、思い出せない。夏の夜がやっと涼しかった。ベランダに出て、線香花火をした。ゴーヤの葉の緑はもうずいぶん薄く黄色っぽくはりがなくなって、やさしい老後の姿になっている。
夕飯:さわらの味噌焼き、大根おろし、ほうれん草おひたし、もずく味噌汁、納豆巻き、ビール。