(窓の向うに)馬が走る

木曜の仕事がえり、大井競馬場に行った。会社の上司のHさんと、Hさんと、みかみっちと。
競馬場に行くのも、馬券を買うのも、初めてであった。モノレールに乗って大井競馬場前駅で降りると、馬小屋の匂いが、暑さにのってむーっと漂ってきた。少し歩くと、夜の遊園地みたいに黄色いネオンのぴかぴかひかる大きな入場口があって、青い制服を来たお姉さんのいるゲートを入った。入場料100円。Hさんが出走表をとったので、わたしもとった。「うまレター」という読みものがあった。わたしはだんだん(そうだ馬も動物なんだった)と興奮してきて、「わたしこれもらいます、だって『うまレター』ですよ?」と宣言して、「うまレター」を一部もらった。Hさん、このタイトルについて「これ考えた人、『おれうまいこと思いついちゃったー』だねー」という。馬のお尻に顔をくっつけている馬の写真が表紙になっているフリーペーパーだった。
驚いた、競馬場のなかって、銀だこモスバーガーもあるんだ。歩いていくと右のほうに、噂にきくパドックがあった。いろんな茶色の濃度の、あるいは漆黒の、あるいは芦毛の馬が、厩舎の人と一緒に、くらっぽくらっぽ、歩いていた。会社の同僚のもうひとりのHさんとみかみっちと合流すると、みかみっちはひとつ前のレースで買ったスーという馬が2着になって悔しいといって、初めて買った馬券を見せてくれた。さっき会社を出たはずの二人目のHさんは、カメラを肩からぶらさげて、すっかり準備のいい感じになっている。二人目のHさんが、新聞の読みかたと、馬券の買いかたを、ざっくり説明してくれた。わたしはパドックを歩く馬にばかり気をとられて、「あの、歩いてる人たちを、もっかい見てもいいですか」と言った。
(つづく。)