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引越した気がした

引越しが終わった。や、違う、棚の新調が終わったのだった。すっかり引越した気になった。
本をおろして、本の埃をてきとうに拭いて、棚を崩して、棚を組みたてて、本を入れて、シャワーを浴び、くるったようにビールを飲む。これをツーセットやった。そのあいだにも、台所まで侵食して横たわる古い棚と本の海山をかきわけて、外へ出かけた。そのあいだにも、ゴーヤはつるを伸ばしつづけ、実をならせつづけ、もういいよと声に出して呼びかけても雌花がつきつづけて、とうとう土曜日、わたしたちは最初の一本を収穫して、ゴーヤとツナのサラダにして食べた。ゴーヤの味がした。いつかの真昼、ゴーヤの葉の裏に、どうもまるぴかとした虫がいて、虫の本で調べてみると、コフキコガネムシというのだった。コガネムシは樹木にばかりつくものと思っていたけど、ゴーヤの葉にもつくのか。コフキコガネムシは、あまり粉をふいている感じはしなくて、背中のまんなかに黒い▼の形がはまっていて、かっこよかった。眺めたり写真をとったりしていると、ほっとけーという鈍い動きで少しだけ移動して、ちょっと目を離したすきにもういなくなっていた。

1セット目の引越しと2セット目の引越しのあいだにやまもっちが来て、DVDで「サマーウォーズ」を見た。「サマーウォーズ」のテレビ放映のちょうど一週間前だった。

遅くなってしまったお礼をここへ。
四谷の「コミュニケーション」展でお会いしたみなさま、部屋のみなさま、そして作品を見に来てくださった方、ありがとうございました。英桃子さんの、料理をたんたんと撮った写真のブックがとてもよかったので、お会いできて、嬉しかった。聖子さんありがとう、
それから、レコリックさん主催のライブ「ハッピー・トラベル2」でお会いした方々にも、ありがとうございました。そのライブは真夏日の田町のライブハウスであったのだけど、ゆりかもめに乗って芝浦埠頭、うろうろ、冷房のききすぎのローソン、ステージのまうらにある廊下みたいな楽屋、歌までうたって、輪唱、合唱、それから和民、夏休みを一日でやってのけたような日だった。出演されていたなかの、武田真也さんはいい声してたなぁ、歌ってるときも喋ってるときも。倍音。招いてくれたMKキューブのふたり、まなみんと川村景太くん、ありがとう、楽しかった。

代々木公園の夜に聞いた「タナン」、エストニア語のありがとうという言葉を、カニエ・ナハさんの新しい夜の大きな絵のような詩、「魔女の宅急便」で山小屋の女子がかいていた絵のような詩を読んで思い出してから、ときどき毛糸球のように転がしている。