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イケアに行く

日曜日、イケア船橋店に行った。はじーと。
京葉線。舞浜で、ディズニーリゾートに行く人たちがたくさん降りた。
南船橋駅の南口を出ると、草むらだった。ひろびろと草むらで、そのまんなかに野原道があり、その先に、くすんだ桃色の団地が2−5−1、2−5−2、2−5−3、2−5−4、と少し弓なりに、整列して並んでいた。野原道のつきあたりに団地の地図と掲示板があって、若松二丁目団地と書いてあった。団地の地図のなかには、保育所や幼稚園や公民館がある。大きな給水塔もある。掲示板には、「犬猫」を飼ってはいけない、近隣の迷惑を考えましょうという貼り紙がある。若松二丁目団地の斜め右向こうに、高層マンションが見えた。その手前に、ばかでかい濃紺の箱があった。ばかでかい黄色い文字で、IKEAと書いてある。濃紺と黄色の組み合わせはかわいい。
右にイケアの濃紺のカタマリがあって、左を見ると若松二丁目団地で、手前には草むらがひろがっているという風景は、とてもよく出来ていた。わたしたちは濃紺のカタマリのほうへ、真夏の草と土の匂いがぷんぷんする草むらを横切っていった。
イケアに入ると、涼しい冷房のなかで大道芸をやっていて、大人や子どもがそれを見るために集合していた。鉛筆と紙尺とショッピングリストをとって、エスカレーターを上った。二階には、「(500)日のサマー」みたいなカップルがたくさんいた。
二階では、買うつもりの本棚(EXPEDITという正方形の5×5の棚(イケアの家具は全部名前がついている))をみるだけなので、ソファやテーブルのところはどんどん飛ばして順路を進んでいって、すぐカフェテリアにはいった。わたしはケーキとクッキーとワッフルの載っているセット、はじーは生ハムを巻いたチーズやサーモンマリネや薄いパンとジャムや小エビととびっこのサラダが載っているワンプレートとビールを頼んだ。イケアのカフェテリアの食べもののことを、わたしたちは「機内食」と呼んでいる。機内食が機内で食べるからおいしいように、イケアの食べものはイケアのカフェテリアで食べるととてもおいしい(うちで食べたことはない)。だだっ広いカフェテリアのなかの明るいほうへ虫が吸い寄せられるようにいって席をとると、窓の向こうにさっきの草むらが見えた。「『夏の葬列』みたい」とわたしが言った。それから富岡多恵子さんの「末黒野」の文体の話になった。富岡多恵子さんの『動物の葬禮・はつむかし』(講談社文庫)は、以前にわたしが読んではじーにお薦めして、はじーが最近になって読んで「なんでもっと早く教えてくれなかったの?」と冗談で言うほど興奮して、わたしもまた読み返したくなっている本で、そのあとがきも「作者」についての話がとてもおもしろい。富岡多恵子さんはさいしょには詩をかいて、あとで小説を書いた人だ。現代詩文庫の「富岡多恵子詩集」もよかったけど、小説は断然すごい、とわたしは思う。(イケアから帰ってきて何日かしたら、はじーが注文した「遠い空」という短編集が届いた。この短編もそうとう「やばい」らしい)
(つづく)

火曜日、会社をやすんで、イケア到着に備えた。
(つづく)

動物の葬禮・はつむかし 富岡多惠子自選短篇集 (講談社文芸文庫)

動物の葬禮・はつむかし 富岡多惠子自選短篇集 (講談社文芸文庫)