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移動する決意、2010

12月31日、木曜日。iPodにはいっている、2009年いちねんぶんの写真を眺めながら、東名高速を走るバスに乗って、清水へ来た。明日にはまた、東京へ行く。ことしは何年もまじめにかいていなかった年賀状をまじめにかいた。ことしは寅年であるのと同時に穴熊年であることにした。ことしも来年もさ来年も、ずっと穴熊年であることにした。ことしも来年もさ来年も、わたしはことしを生きるからだ。

12月30日、水曜日には、なこしが紹介してくれた初めて会う友達、ちーちゃんとだいちゃんのおうちで、ごちそうをおなかいっぱい、自分のからだが球体になったような気がするくらいまでいただいて、はずんで帰り、うちにつくなり、ころころ転がった。

ごちそうの内容:金時にんじんとしょうがのきんぴら、お豆(ゆず風味)、きのことペコロスのマリネ、さつまいもとりんごの甘煮、オリーブ(新漬け)、トマトとたまねぎのサラダ、茹で野菜(紫きゃべつ、にんじん、さやえんどう、ブロッコリー)、高きびのコロッケ、鶏なんこつ、ペペロンチーノ、かぼちゃのスープ。すこしずつ、ちびちび、たくさん食べた。飲んだものは、ビール、白ワイン、赤ワイン、宮崎からお取り寄せしたという、甕入りの焼酎、それからさいごにカフェオレ。だいちゃんは、帰ってくるなり、会社でもらってきた大量のチョコレート菓子を、わたしとなこしに配ってくれた。ちーちゃんが、はじーへのおみやげに、お豆、マリネ、フムス(アラビア料理のディップらしい)をタッパーに入れてくれた。みんなで、有名なキャラクターをみないで描いて、だれの絵がいちばん似ているか!?ゲームをやった。描いたもの:ドラえもんコロ助、アナグマ、目玉のおやじ、ムック、ガチャピン、アトム、ムーミン、キティちゃん、悟空。ドラえもんは、両目がくっついているというのを初めて知った。

12月29日、火曜日には、家を出がけに覗いたポストに、小包みが届いていて、それはわたしが「すてきなあなたに」の記事に紹介されて注文した本「おばあさん」で、わたしはその包みを鞄に入れて、ハチ公バスに乗った。乗りながら、包みをといて少し読んでみると、それはもう最初の一ページから、おばあさんの、慣れ親しんだ場所と習慣から移動する決意に始まる物語だったので、これからこのおばあさんの姿を何百ページもみていられるのが、嬉しくなってしまう。(移動する決意。移動する決意。)

手紙のおわりには、おばあさんもそこに永住して、娘や孫たちのところで暮らしてもらえないだろうか、孫たちも、今からおばあさんにとても会いたがっていることではあるし、という熱心な願いがのべられていた。おばあさんは泣きだした。どうしてよいかわからなかったのである。(…)結局、肉親への愛情が古い習慣に打ち勝って、おばあさんは行くことにきめた。家は、そのなかにある物一式とともに、ばあやのビイェトカに譲ったが、その時おばあさんはつけ加えて言った。
「むこうへ行っても、はたして居心地がよいかどうかわからないし、ひょっとするとまたここへ帰ってきて、おまえさんたちのなかで死ぬようなことになるかも知れないよ」

おばあさん (岩波文庫 赤 772-1)

おばあさん (岩波文庫 赤 772-1)

すてきなあなたに

すてきなあなたに