カーネーション、おはなのなかでは

4夜連続でやっているNHKの井上陽水さんの番組がとてもよくて、陽水さんの喋っていたことのことばかりかんがえている。昨日は第3夜だった。「世の中でいちばんとうとい仕事は、ひとに笑いを与える仕事だと思うんですよね」。だから自分の曲なんかも、感動しました、より、笑ってもらえたほうが、うれしい。わたしもそう思うよ、陽水さん。ひとに笑いを与えることの、難しさたるや。その、レベルの高さたるや。陽水さんのメールには絵文字がいっぱいなんだそうだ。変人というレッテルをばーんと貼られているので、ごく、普通のことを言っても、それ以上の意味がついてしまうから、絵文字を使うのだというようなことを、陽水さんは言っていた。わたしが小学生のとき音楽の教科書に「少年時代」が載っていたので、家族と初めて行ったカラオケで、うたった。大人になってから、ライオンとペリカンの出てくるうたや、傘がなくなるうたや、すべてが川沿いで展開されるうたや、ただただカーネーションをめでるうたがあることを知った。もーお、ほしは、かえろおとしてーるー、かえれない、ふたりをのこして、というフレーズが、ここ三日間ずーっとループしている。
この第3夜の放送の前に別のチャンネルでやっていたMIB(メン・イン・ブラック)、はじーと途中から観ていたら、なんやすごいおもしろかった。缶コーヒーのBOSSのCMでなんであの人が「この星の・・・」なんて言ったりするのか、初めてわけがわかった。
大学時代に一度のめりこんで、その後しばらく読んでいなかった川上弘美さんの小説を、最近また読んでいる。のめりこんでいたときよりも、いまのほうが、なんて巧みな文体だろうとおもう。この人はほんとうに何もないところからかいているとわかる、ほんとうにさっき書いた一行にほだされるようにして次の一行をかいているとわかる文体。オハナシで塗りこめない。一行一行の関係が濃ゆくて、ぞわぞわする。「その後しばらく」のあいだに、川上弘美さんの小説はたくさん出版されていた。