「春と粉」

ユリイカ」7月号に、投稿した詩「春と粉」が掲載されました。尊敬している詩人、伊藤比呂美さんに文句をたくさん書いてもらい、たいへんに嬉しいです(この「たいへんに嬉しいです」という文章のどこかに「!」をねじこみたいのだが、どうもこっぱずかしいです)。
わたしはこの詩に「アイヌ神謡集」の一節を引用しました。詩に誰かのことばを引用するのは遠くへいきたいから、だけどことばはもともと誰かのことばなのであって、自分のことばなんてものはどこにもありません。ならどうすれば遠くへいけるか。それはたぶん、いまわたしのいるこの場所の景色をきちんと見ることで、に尽きるのだと思います。けしきのあることばをよみたい。けしきのあることばをかきたい。わたしにとって詩をよむこと/かくことは、けしきとけしきのあいだを跳んでゆく快楽です。そう言い切っておいてしまえば、そういう跳躍に、もっと高い跳躍に、少しでも近づける気がして、正直に、嘘をつきます。まだまだ、精進せにゃならんです。