With Love and Squalor

正午に起きる。はじーはまだ寝ている。庭のドウダンツツジの木の、いちばん高い枝のところだけ、ぷちぷちぷちぷち……と白い花が芽吹いている、かわいい。紅茶をいれて、ライ麦食パンをトーストして、ミルクジャムを塗って食べた。ミルクジャムは、きのう残ったエバミルクと冷蔵庫の牛乳の残りと砂糖で、ネットのレシピを参考にして、マラサダの生地を寝かせている間につくった。パンとかジャムとか、こういう基本的な食べものをつくると、もっと自分の手を動かして、その手によって、その手において、生活したい衝動がわいてくる。
ミルクジャムを煮ながら、サリンジャーの「For Esme - With Love and Squalor」を読んで、寝る前にも読んで、今朝読みおえた。エズミの綺麗なイギリス英語、エズミの使う、びっくりするような難しい単語のひとつひとつが、とても、とても、かなしい。

"I thought Americans despised tea," she said.
It wasn't the smart observation of a smart aleck but that of a truth-lover or statistics-lover. I replied that some of us never drank anything but tea. I asked her if she'd care to join me.
"Thank you," she said. "Perhaps for just a fraction of a moment."

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