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春の赤さん

午後一時、髪を切りに、国立へ。ぽかぽかぽかぽかどうしようもなく暖かい。もうちょっとソワソワしたいので、あまりすぐにパンパカパーンとした春にはならないでほしい。あたたかくもさむくもなく、乾いても湿ってもいないのが、からだがぜんぶソワソワする、植物のはく息が聴こえそうな気がする、貴重な季節なのだ。
サロンに向かう最後の横断歩道をわたしが渡ろうとしていると、Yさんもちょうど入口に、赤さん(Yさんは赤ちゃんのことを赤さんという)を連れて到着したところ。わたしは急に、やっぱりパーマをかける気になって、切るのだけYさんにやってもらい、パーマとカラーはYさんのだんなさんのOさんにしてもらった。パーマは前回とおなじふわふわにした。色はくろく染めた。日に当たるとすこしだけみどりいろが透けるくろだ。
Yさんのお母さんが赤さんの子守りに来て、Yさんとお散歩に行っているあいだ、わたしは髪をつるつるの白いニューマシンで温めてもらいながら、ミルクティーをいただきながら、Oさんと公園について談義した。Yさんもいつのまにか戻ってきて、油壺マリンパークがおもしろかった話をする。メガマウスシャークという、口ばかりとても大きい鮫がいるらしい。いるかのショーではミラーボールが出てきたりシンディー・ローパーの曲がかかったりして、70年代みたいなのらしい。わたしは今度鴨川シーワールドに行くことになっているので、その次は油壺に行く! と言った。
そういえばこのYさんとOさんからは、赤さんが生まれる前も生まれてからも、一度も「結婚」という言葉をきいたことがないのだった。YさんはいつのまにかOさんを「主人」と呼んでいて、ある日サロンに行くと赤さんが、けろっとしてそこにいたのだった。