とべバッタ
センター街のブックオフの絵本コーナーで味をしめて、実家の近所のブックオフにも絵本を漁りに行ってみたら、「とべバッタ」をみつけた。バッタはとぶ。「跳ぶ」だけではなくて、「飛ぶ」のである。バッタは、一生を天敵から逃れ隠れて生きていかなければならない自分自身に絶望して、ある日、岩のうえに立ち、そして、とぶ。天敵をけちらし、とんぼや蝶に嘲笑われても、れっきとした一匹のバッタとして、バッタのとびかたで、どこまでも、とんでゆく。
- 作者: 田島征三
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 1988/07/01
- メディア: 単行本
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実際にあるく前に、きょうはリツゼンという名前の稽古をした。両腕を二本ぶらんと前に出し、ひざをちょっとまげてらくに立った状態で15分静止する。立っているあいだはできるだけ視界を狭めず、無心になる。それから前回もやった、能の方法でできるだけゆっくり一歩を踏み出す稽古。これの、自分の重心が移動していく感じをあじわうのがなんとも気持ちいい。こんな速度で歩いたり、寝るとき以外でこんなに長い時間不動の姿勢になることは、とても貴重で、自分の輪郭がすこしだけ時間の流れからはずれて、透明になるような感覚がある。岩のうえでじっととぶ瞬間をみきわめていたバッタの気分に、すこしだけ近づいただろうか。