年始・おふとん

あけましておめでとうございます。
実家のおふとんがぶわっと重かったので、東京自宅に戻ってすこしほっとしている穴熊です。自宅のおふとんはかるい。かるくて温かい。
毎回、実家を訪ねるたび、その変わらなさに驚愕します。家具の位置、暖房器具、元旦の新聞に挟まった広告のラインナップ。母の住むわたしの実家は、1992年に建ち、築16年となりました。白い壁、白い灯り、数年前に母の買った大きな液晶テレビ。母は蛍光灯の白い灯りが好きです。居間にはたまごいろの間接照明もあるのに、母は「暗い」といって使いません。わたしは行くとかならずそっちに切り替えます。
伯母の家が、そこから歩いていけるところにあります。伯母の家も変わりません。遊びにいくときはかならず、玄関からではなく、居間の雨戸からあがります。畳の居間の三隅に、コタツから出なくてもいいように、ティッシュの箱がひとつずつ。居間の隣に、おじの趣味の部屋があります。無線の機材、DOS-VのころからWindows XPにいたるまでのパソコン。反対隣の従兄の部屋も、おととし従兄が結婚して空いて、おじの趣味のギターの部屋になりました。木造の築37年のふるい家です。中学生のころから、わたしは伯母の家に寄りみちしてジュースだのアイスだのお菓子だのを出してもらって、用がなかろうが居間に誰もいなかろうが、そこで過ごしてばかりいました。このついたちもそうやって、親戚一同で祖母の家に集まったあと、わたしだけおじの車に乗ってこの家に運んでもらい、あまいコーヒーと一口羊かんと日本茶で、ああ、そうかー、ここはわたしの元祖カフェなんだ。
ふつかは、伯母の家におでんを食べに行きました。寄りみちしながら歩いていると、新しい大きな公園が出来ていました。夕焼けでした。すべり台をすべりました。おでんはでんがく味噌とからしで食べる、おいしい。まぐろのお刺身や大根の細切りサラダや小粒のあまいらっきょやみかん、出てくる。出てくる。
みっか、mother3をクリアしました。RPG最後までやったのなんて初めて。静岡・呉服町のカフェめぐり(サイゼリア、ドトール、江崎書店を挟んでサンマルク)。21時36分発の、東京へ戻る新幹線は混みぎみ。立ちながら、ポケットサイズの日本霊異記。景戒は、「わたしはばかです、」と前置きしてから、語りはじめます。
よっかはわたしもはじーも長びいた風邪を抱えて東京のうちにこもり、はじーは牛肉をずっとずっと煮込み、わたしは「ハルチン2」と「萩尾望都自選短編集」をずっとずっと読み、テレビに映っている桂離宮のいろいろの部屋のデザインの新しさにぼーっとし、天の一点をみて喋る吉本隆明さんに聴きいって過ごしました。吉本隆明さんは、芸術の無意味の意味のことを、50年の思考ぶん、ずっとずっと喋っています。

ハルチン 2

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半神 自選短編作品集 萩尾望都Perfect Selection 9 (フラワーコミックススペシャル)

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