秩父に咲いていた花のこと。民家があるところにはヒメマツバギク、タチアオイ、青や白やふしぎな蛍光ピンクのヤマアジサイ、ホタルブクロ、黄色いノコギリソウ、セイヨウノコギリソウ、ザクロ、ヒマワリ。実のいっぱいついたビワの木も、里の道角や家の庭に見かける。線路の脇にはムラサキツユクサ、一面のソバ畑、のはらにはオカトラノオ、アラゲンハンゴンソウとグロリオサ・デージーの混ざったの、畑の脇にはシロツメクサ。クリの木がどこにでもある。クリの木の畑もある。トチの木にまだ熟さない実がついている。「山渓ポケット図鑑 夏の花」で調べながら歩いてゆくと、どんな花でも大抵載っている。少し山を登るだけで気温が下がり、湿って、ドクダミの群生や、名前の判らない蛍光オレンジの菌類(後で調べたら、ツノマタタケと言うらしい)や、シダの大きな株をみる。菌類が生えていた水車小屋脇の池には、オタマジャクシがごじゃごじゃいる。いたるところに蝶がいる。モンシロチョウ、シジミチョウ、黒アゲハ。最初の目的地の明ヶ指から戻って木橋に向かう細い山道の途中、木橋の近くに、夜明けのような青さの蝶が五羽、ちらちらちらちら、ずーっとみていると目がおかしくなりそうに、麻薬のように舞っている。