昨日

夕食 牛丼、古漬け、梅干し、ビール。牛肉と新玉ねぎと紅生姜を買ってきて、牛丼を作った。だし汁は昆布とかつお節でとった。(昆布は水から入れてじっくり火にかけ、最後にかつお節をひと掴み入れて火を止め、二、三分待つ。キッチンペーパーで漉す。)
晩酌 白ワイン、カマンベールチーズ、ハッピーターン
夜、DVDで「月光の囁き」を観ていると、K里君から電話がかかってくる。やぶんにすみませんが、これからとめてもらえませんか、いま新宿なんですけど、と言う。どうぞどうぞと電話を切って、近所まで迎えに行く。道の教え方のことで、またハジーと口論気味になる。ハジーがいるときは、必ずハジーが道を教えるということで意見の一致をみる。その後、道の途中でK里君を発見。「まさか大崎さんとこんなことになるとは」と、うちに向かって歩きながらK里君淡々と言う。永山則夫寺山修司天井桟敷の話が出る。
私はK里君の演劇を学生時代からよく観ていた。K里君の言うことは、ふだんから嘘もほんともないような話ばかりである。が、(だから?)彼の演劇はおもしろい。凝ったタイトルをつけた学生演劇の独りよがり加減に私がうんざりしていた頃、彼は嘘でも安吾だのカフカだのベケットだのの名を冠して演劇をしていた。でも、彼は自分のことが相当好きらしく、他のことにはあまり興味が無い(それだって彼が言ってることだから嘘もほんともないが)。ハジーはK里君のことを悪人と呼ぶ。
K里君の携帯していた音楽(イースタンユースbeastie boysclap your hands say yeah三上寛大塚愛、最近の舞台で使った曲など)をK里君の選曲でかけながら、音楽の話、演劇の話、ペルーや南米について、学生の時の話、当時ありえないなーと思っていた教諭の話などする。K里君の鞄から出てきたボンタン(?)をむいて食べる。久しぶりに私の書いたものを読んでもらい、K里君が昔くれた掌編も引っぱり出してきた。「僕の人生が京浜線だとすると、大崎さんの人生はりんかい線だね」などと、K里君はまたわけのわからないことを言う。私はりんかい線の人生なんて嫌だ。漢字とカタカナの組合せがおかしい駅名ばかりだし、どの駅も広いだけで殺伐としてるじゃん。
私は例のごとく丑三つ時に力尽きてベッドに伏し、朝になって「月光の囁き」の喘ぎ声で眼がさめる。どうやら二人は私が寝てからまた最初から観ていたらしく、私はそこから最後まですだれ越しにこっそり観る。K里君はこの映画が気に入らないらしく、次の展開の予想ばかりしている。ハジーはそれを隣でおもしろがって聴きながら、ときどきちょっかいを出す。
「大崎さん、K里君が突然泊まりに来てうざかったってブログに書かないでね」「K里君が突然泊まりに来てうざかったってブログに書かないでねって言ってたって書くよ」「K里君が突然泊まりに来てうざかったってブログに書かないでねって言ってたって書かないでね」と、不毛な会話をえんえんとする。そんなもの、書いちゃったもん勝ちである。

K里君の話
・キェシロフスキーの「トリコロール」という映画が面白い。「愛に関する短いフィルム」という作品も面白い。