あたかも雲に賀して行くように

同居人がついにカリマーの青いバックパックを買った。彼は私のほとんどゆいいつの山友達である。私のバックパックは赤いので、赤と青でふたりでぐりとぐらみたいになって歩きまわるのが楽しみで、5月にはさっそく丹沢へ行くのだけれど、吉祥寺の山ショップののんびり人のいい店員の男の子に5月くらいから丹沢は蛭が出ると教わり(男の子は首すじからいつのまにか入られて背中が真っ赤に染まったそうな)、ヤマビルファイターあるいはヒルさがりのジョニーという撃退スプレーがあることも教わって、その流れでなぜか「高野聖」を読んだ私は完・全に山蛭の恐怖にうちのめされたのであった。

それと同時に「高野聖」の語りのものすごさにもうちのめされ、これからしばらく私には鏡花ブームが訪れると思います。何か心に迫るものがあるとき、人の胸は〈キヤキヤ〉するんだ。