グアヤキル国際詩祭(3)

日本という国では、自分の国に生まれてから死ぬまでずーっと住むことがとても自然で、それが基本の生き方のように認知されているところがあるけど、国際詩祭に参加すると、それはまったく基本なんかではないということを改めて思い知らされる。すべてのプロ…

グアヤキル国際詩祭(2)

夜7時から、Casa de la Cultura(文化の家)という建物で、詩祭のオープニングが始まることになっていた。スケジュールを見ると7時ちょうどから関係者の挨拶があって、7時15分から朗読が始まることになっていた。噂には聞いていたけれど、ここの人たちは…

グアヤキル国際詩祭(1)

7月10日。出発。 羽田発ロサンゼルス行きの便では高校生の研修旅行団体、ロサンゼルス発ニューヨーク行きではユダヤ人の新社会人青年と在NY台湾人のおばちゃん、ニューヨーク発グアヤキル行きではPortoviejoという街に帰るスペイン語の先生アンジェと、隣り…

きれいな晴れの日

5月8日、月曜日。ゴールデンウィーク中は観光客や帰省してきた人たちで賑わっていた鵠沼海岸周辺は、すっかりいつもの落ちつきを取り戻したように見える。連休のあいだ、木曜も金曜も土曜も日曜も、ずーっと晴れていた。今日もきれいに晴れている。きれいな…

犬という名前の猫

スペイン語で、犬はペロ(perro)と言うらしい。(ちなみに、peroはbutで、peloは体毛だそうだ。)このことを私が知ったのはつい最近、スペイン語の勉強を始めたからで、私がスペイン語の勉強を始めたのは、猫を飼いはじめた後のことだった。 去年の秋、猫を…

エルヴィラ・シュタイフのための夢想

アドリエンヌ・リッチ 作 詩集"The Dream of Common Language"より 冷たくて冷たくて 私たちの血も冷たくなった それから風が死にたえて私たちは眠った この眠りのなかで話すとしたら私の声はもう私だけのものじゃない(私は言いたい 複数の声で)私たちの息…

プリンス「キス」

おまえの顔なんかどうでもいいさからだがほしいだけ夜が明けるまで経験なんかなくていいから任せときなよみせてあげるから 金なんかいらないよ僕のものになれよカッコ悪くていいから僕を支配してほかの何かと交換しないでちょっとおくれよ、時間とキスを 淫…

滝子山

女子6人で、笹子駅を9時半出発。曇りぞら。おやつに駅前の笹子餅を買う。里の家の脇を、山から流れてきた澄んだ水が、ばしゃばしゃ流れている。歩いているうちに晴れてくる。悲しそうなリスの絵の、山火事注意のポスターをいくつも見かける。お地蔵さんの…

来福の下宿

温又柔さんの小説『来福の家』を読んでいて、東京でさいしょの一年半だけ住んだ下宿のことを思いだした。大学の掲示板で見つけたその下宿は西荻窪の閑静な住宅街にあるふるい邸宅だった。邸宅といっても、古くなってあちこち痛んでいるその家は増改築を繰り…

あとの祭り

池袋で白神ももこさん演出の『春の祭典』を観た金曜日、ちょうど多和田葉子さんの新しい小説『献灯使』を読んでいた。 しろっぽくて直線的で平面的な、つまりはとても人工的に見える舞台のうえで、極彩色でパワフルなくせにどこか抑揚のひらべったい盆踊りを…

ベルリンで朗読した

この夏、ベルリンで、初めて英語で朗読した。 英語での朗読は、ずっとやってみたかったことだった。今回ベルリンに行くことが決まってからも、ぐずぐず迷っていたのだけど、この機会を逃したらもうまたいつできるかわからないのだからと思って、勇気を出して…

浮かんで飛ぶ

八月の終わりに江ノ島へ行った。西浜の海の家でパーティーを主催した夏から、もう十年ちかく経っている。海の家に来る人は移り変わって、記憶にあった場所とはもうだいぶ違っている。騒々しいと感じる。その嫌悪感が、自分の年齢があがったせいなのか、海の…

Berlin, DAY9.

最後の夜はローラと、コトブッサートールのサンタマリアという店で、メキシカンをお腹いっぱい食べた。席が空くのを待つ間その通りをぶらぶらしてみると、どの店も賑わって活気があった。なかでもサンタマリアは大人気だった。ローラはセビッチェ、はじーは…

Berlin, DAY7.

みんなでカフェ、インパラコーヒーへ。テーブルに置いてあった新聞の一面に「エボラ出血熱の患者がベルリンにも」と報道されている。 聖マタイ教会の向かいにある韓国料理屋さんは、ちりちりの銀髪をツインテールにまとめたオモニがやっている店。店内の壁い…

Berlin, DAY3.

コトブッサー通りのトルコ人のフィラットのアパート(元は高官の住居だったらしい)でボロネーゼのディナー、夜遅くまで、それぞれの故郷の古い音楽をたくさんかけながら。フィラットはイタリア人のミケーレがボロネーゼを作ると思っていたのにはじーがシェ…

Berlin, DAY2.

テンペルホーフ空港跡地で鳥を観察しようと思ったけど、雨が降ってきたのでまた今度にすることにした。角のカフェに入ったら、エンゲルスという名前のカフェなのだった。そこから少し歩けば、カール・マルクス通りに出るのである。洒落ている。後になってそ…

Berlin, DAY1.

ノイケルンのアパートはとても静かだ。着いてすぐ、もとこさんとミケーレが用意してくれた夕飯、いのししのブルストや生ハムやチーズやパン、ドイツビールを飲んで、食べた。洗礼のような、濃い強い味。 夕飯のあと、ミケーレのために英語で、翻訳してきた詩…

コマドリ、捻挫、檜洞丸

〔丹沢湖ー西丹沢自然教室ーゴーラ沢出合ー檜洞丸ー犬越路ー西丹沢自然教室〕5/18 朝の丹沢湖からバスに乗って、箒杉と呼ばれている樹齢二〇〇〇年の杉の木のある場所を越えて、9時、西丹沢自然教室。登山の人たち、パッと見渡して三〇人くらいだろうか、混…

夢の部屋

夢で。いま住んでいるのと同じマンションの別棟に引っ越すことになる。別棟のほうがいい部屋が入っているらしい。もう借りたことになっている部屋を、私はまだ見たことがない。新しい部屋は202号室で、キャビネットみたいなガラス扉を開いて入ると、とても広…

働かない日の銀座

私、働かない日に銀座に行くのはとても珍しい。私の働かない日、銀座は歩行者天国。資生堂ギャラリーで「初心」展をみて、三角みづ紀さんの詩が載っている花椿を手にいれて、あまりにもパッケージのかわいいボンボンフロマージュをうろうろと買って、歩行者…

土曜日、晴れ、大野山

〔山北駅ー大野山山頂ー丹沢湖 落合館〕 土曜日、午前10時半をまわる頃、山北駅から歩き始め。山北駅には若いツバメがいっぱい飛んでいる。のどの赤が薄いので、若いと分かる。翼に心配な斑点のある個体が一羽。駅舎の梁に、巣が無数にある。駅の近くの商工…

夏だ

7月、伊豆大島へ行くよ。三原山のふもとへ帰るよ。

こんどはファレル

LordeのRoyalsの脳内ループがやっとおさまったと思ったら、こんどはPharell旋風がうちにも吹き、HAPPYの動画をみていたら久しぶりに踊りに行きたくなったけど、いまってダンスミュージック浴びるためには、どこへ行けばいいのだろう。あ、そうか、ないのか、…

自分の演技

それにしても記者会見である。記者会見をする側になるなんてもちろん初めてのことだった。でも私は映画の仕事で、いろんな製作発表記者会見とか舞台挨拶の記者席で写真を撮ったことはたくさんあって、フランス映画祭の記者会見の一列目の席でジェーン・バー…

中也賞を授与されました

月曜日から水曜日まで、中也賞授賞式のために、山口へ行きました。授賞式のスピーチは人生で最高に緊張しましたが、記念パーティーのほうのスピーチではするっと喋れました。なんだか見守られてる感じがして。その日は中也の107回目の誕生日で、空の下の朗読…

データの彗星

ずっと行きたかったYCAM(山口情報芸術センター)をやっと訪ねることができた。映画館と図書館とアートスタジオがひとつになった巨大な建築もすばらしくて、明るい吹き抜けのホワイエで宿題をやっている女子の二人組をみて、いいなぁ、そりゃ、中学生の私が…

あたかも雲に賀して行くように

同居人がついにカリマーの青いバックパックを買った。彼は私のほとんどゆいいつの山友達である。私のバックパックは赤いので、赤と青でふたりでぐりとぐらみたいになって歩きまわるのが楽しみで、5月にはさっそく丹沢へ行くのだけれど、吉祥寺の山ショップ…

きょうの風景(4/5)

白いシュワシュワした花がこんもりと咲いている木が目の先にみえて、りんごの木だろうかと思ってよく見たら、ウォーターフロントの白い桜の並木なのだった。光の反射が眩しいせいか、気がかりなことがあるせいか、景色のトーンが明るい方に飛びすぎてよく見…

ロード「王族」

本物のダイアモンドは見たことがない私の見たのは映画のなかの結婚指輪私の住所は自慢するような場所じゃないさびれた町で、郵便番号の嫉妬ごっこもないなのにどんな歌もこればっかり金歯だの高級ウォッカだのバスタブでトリップするだの殺人事件に舞踏会の…

トマト、アボカド、ムクドリ

あっというまに週末が終わってしまった。帽子屋さんで帽子を買った。風邪を治した。トマトとアボカドの料理を大量につくる新年会をした。 夕方、甲州街道沿いの緑道でムクドリのつがいを見た。猫や犬に比べて、鳥のおすめすが見分けやすいのはどうしたことだ…