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エルヴィラ・シュタイフのための夢想

アドリエンヌ・リッチ 作 詩集"The Dream of Common Language"より 冷たくて冷たくて 私たちの血も冷たくなった それから風が死にたえて私たちは眠った この眠りのなかで話すとしたら私の声はもう私だけのものじゃない(私は言いたい 複数の声で)私たちの息…

プリンス「キス」

おまえの顔なんかどうでもいいさからだがほしいだけ夜が明けるまで経験なんかなくていいから任せときなよみせてあげるから 金なんかいらないよ僕のものになれよカッコ悪くていいから僕を支配してほかの何かと交換しないでちょっとおくれよ、時間とキスを 淫…

滝子山

女子6人で、笹子駅を9時半出発。曇りぞら。おやつに駅前の笹子餅を買う。里の家の脇を、山から流れてきた澄んだ水が、ばしゃばしゃ流れている。歩いているうちに晴れてくる。悲しそうなリスの絵の、山火事注意のポスターをいくつも見かける。お地蔵さんの…

来福の下宿

温又柔さんの小説『来福の家』を読んでいて、東京でさいしょの一年半だけ住んだ下宿のことを思いだした。大学の掲示板で見つけたその下宿は西荻窪の閑静な住宅街にあるふるい邸宅だった。邸宅といっても、古くなってあちこち痛んでいるその家は増改築を繰り…

あとの祭り

池袋で白神ももこさん演出の『春の祭典』を観た金曜日、ちょうど多和田葉子さんの新しい小説『献灯使』を読んでいた。 しろっぽくて直線的で平面的な、つまりはとても人工的に見える舞台のうえで、極彩色でパワフルなくせにどこか抑揚のひらべったい盆踊りを…

ベルリンで朗読した

この夏、ベルリンで、初めて英語で朗読した。 英語での朗読は、ずっとやってみたかったことだった。今回ベルリンに行くことが決まってからも、ぐずぐず迷っていたのだけど、この機会を逃したらもうまたいつできるかわからないのだからと思って、勇気を出して…

浮かんで飛ぶ

八月の終わりに江ノ島へ行った。西浜の海の家でパーティーを主催した夏から、もう十年ちかく経っている。海の家に来る人は移り変わって、記憶にあった場所とはもうだいぶ違っている。騒々しいと感じる。その嫌悪感が、自分の年齢があがったせいなのか、海の…

Berlin, DAY9.

最後の夜はローラと、コトブッサートールのサンタマリアという店で、メキシカンをお腹いっぱい食べた。席が空くのを待つ間その通りをぶらぶらしてみると、どの店も賑わって活気があった。なかでもサンタマリアは大人気だった。ローラはセビッチェ、はじーは…

Berlin, DAY7.

みんなでカフェ、インパラコーヒーへ。テーブルに置いてあった新聞の一面に「エボラ出血熱の患者がベルリンにも」と報道されている。 聖マタイ教会の向かいにある韓国料理屋さんは、ちりちりの銀髪をツインテールにまとめたオモニがやっている店。店内の壁い…

Berlin, DAY3.

コトブッサー通りのトルコ人のフィラットのアパート(元は高官の住居だったらしい)でボロネーゼのディナー、夜遅くまで、それぞれの故郷の古い音楽をたくさんかけながら。フィラットはイタリア人のミケーレがボロネーゼを作ると思っていたのにはじーがシェ…

Berlin, DAY2.

テンペルホーフ空港跡地で鳥を観察しようと思ったけど、雨が降ってきたのでまた今度にすることにした。角のカフェに入ったら、エンゲルスという名前のカフェなのだった。そこから少し歩けば、カール・マルクス通りに出るのである。洒落ている。後になってそ…

Berlin, DAY1.

ノイケルンのアパートはとても静かだ。着いてすぐ、もとこさんとミケーレが用意してくれた夕飯、いのししのブルストや生ハムやチーズやパン、ドイツビールを飲んで、食べた。洗礼のような、濃い強い味。 夕飯のあと、ミケーレのために英語で、翻訳してきた詩…

コマドリ、捻挫、檜洞丸

〔丹沢湖ー西丹沢自然教室ーゴーラ沢出合ー檜洞丸ー犬越路ー西丹沢自然教室〕5/18 朝の丹沢湖からバスに乗って、箒杉と呼ばれている樹齢二〇〇〇年の杉の木のある場所を越えて、9時、西丹沢自然教室。登山の人たち、パッと見渡して三〇人くらいだろうか、混…

夢の部屋

夢で。いま住んでいるのと同じマンションの別棟に引っ越すことになる。別棟のほうがいい部屋が入っているらしい。もう借りたことになっている部屋を、私はまだ見たことがない。新しい部屋は202号室で、キャビネットみたいなガラス扉を開いて入ると、とても広…

働かない日の銀座

私、働かない日に銀座に行くのはとても珍しい。私の働かない日、銀座は歩行者天国。資生堂ギャラリーで「初心」展をみて、三角みづ紀さんの詩が載っている花椿を手にいれて、あまりにもパッケージのかわいいボンボンフロマージュをうろうろと買って、歩行者…

土曜日、晴れ、大野山

〔山北駅ー大野山山頂ー丹沢湖 落合館〕 土曜日、午前10時半をまわる頃、山北駅から歩き始め。山北駅には若いツバメがいっぱい飛んでいる。のどの赤が薄いので、若いと分かる。翼に心配な斑点のある個体が一羽。駅舎の梁に、巣が無数にある。駅の近くの商工…

夏だ

7月、伊豆大島へ行くよ。三原山のふもとへ帰るよ。

こんどはファレル

LordeのRoyalsの脳内ループがやっとおさまったと思ったら、こんどはPharell旋風がうちにも吹き、HAPPYの動画をみていたら久しぶりに踊りに行きたくなったけど、いまってダンスミュージック浴びるためには、どこへ行けばいいのだろう。あ、そうか、ないのか、…

自分の演技

それにしても記者会見である。記者会見をする側になるなんてもちろん初めてのことだった。でも私は映画の仕事で、いろんな製作発表記者会見とか舞台挨拶の記者席で写真を撮ったことはたくさんあって、フランス映画祭の記者会見の一列目の席でジェーン・バー…

中也賞を授与されました

月曜日から水曜日まで、中也賞授賞式のために、山口へ行きました。授賞式のスピーチは人生で最高に緊張しましたが、記念パーティーのほうのスピーチではするっと喋れました。なんだか見守られてる感じがして。その日は中也の107回目の誕生日で、空の下の朗読…

データの彗星

ずっと行きたかったYCAM(山口情報芸術センター)をやっと訪ねることができた。映画館と図書館とアートスタジオがひとつになった巨大な建築もすばらしくて、明るい吹き抜けのホワイエで宿題をやっている女子の二人組をみて、いいなぁ、そりゃ、中学生の私が…

あたかも雲に賀して行くように

同居人がついにカリマーの青いバックパックを買った。彼は私のほとんどゆいいつの山友達である。私のバックパックは赤いので、赤と青でふたりでぐりとぐらみたいになって歩きまわるのが楽しみで、5月にはさっそく丹沢へ行くのだけれど、吉祥寺の山ショップ…

きょうの風景(4/5)

白いシュワシュワした花がこんもりと咲いている木が目の先にみえて、りんごの木だろうかと思ってよく見たら、ウォーターフロントの白い桜の並木なのだった。光の反射が眩しいせいか、気がかりなことがあるせいか、景色のトーンが明るい方に飛びすぎてよく見…

ロード「王族」

本物のダイアモンドは見たことがない私の見たのは映画のなかの結婚指輪私の住所は自慢するような場所じゃないさびれた町で、郵便番号の嫉妬ごっこもないなのにどんな歌もこればっかり金歯だの高級ウォッカだのバスタブでトリップするだの殺人事件に舞踏会の…

トマト、アボカド、ムクドリ

あっというまに週末が終わってしまった。帽子屋さんで帽子を買った。風邪を治した。トマトとアボカドの料理を大量につくる新年会をした。 夕方、甲州街道沿いの緑道でムクドリのつがいを見た。猫や犬に比べて、鳥のおすめすが見分けやすいのはどうしたことだ…

タオを読んだ

風邪はすこし良くなった。部屋で仕事。今月から、毎月一度ずつ、私も夕飯の料理を担当することにした。その最初である明日は、コロッケときのこのマリネを作ることにした。 昨日は寝ながら「タオ 老子」を読みきった。語りがとてもよかった。たまに入ってく…

おひさしぶりです

昨晩から風邪気味。朝、暮らしの手帖に載っていた苺のサンドイッチを作る。マスクして加島祥造さんの「タオ 老子」を読む。イケアで買ってきたものがどれもすんなりと部屋にはまって、使いかけのスパイスやパン粉や茶葉やパスタの山になっていた台所のテーブ…

今日の風景(9/16)

三角みづ紀さんの朗読をききに、京橋へ行った。 台風がきたので、この連休に静岡へ行こうとしていたのを延期して、台風が去ったので、朗読会へ行くことができたのだった。久しぶりに聞く三角さんの声が、あー、あー、と浸みた。朗読のあとには、会場のすみに…

燕岳(1)

九月六日金曜日夜八時、はじーと出発。ドラッグストアで炭酸水、カロリーメイト。初台交差点の吉野家で牛丼と瓶ビール、ちょうど千円。そのまま新宿まで歩いていく。涼しい。小学生向けの進学塾の前に、母親たちがたむろしている。こどもが出てくるのを、鳩…

ひさごや

ひさごやが、なくなった。ひさごやは、女がひとりで切り盛りする店だ。ひさごやは、おむすびや団子を売る店だ。 ひさごやが予定外にやすむとき、出来たてのおむすびの名前を貼りだすとき、いつも同じ筆ペンの字体だった。あれはあのおばさんの、字だったのだ…

きょうの風景(5/4)

ゴールデンウィーク折り返しの土曜日。品川駅で野村さんと待ちあわせて、北品川を歩いた。びっくりした、品川というのは、海辺であった。旧東海道というのは海沿いの道なのだった。品川神社、というか御殿山は、小高い桜の名所であった。江戸の人は春の品川…

もとこさんとミケレ(ふたりのきちんとしたダンサー)

ローマの空港についたのは、日付が変わるぎりぎりの時間だった。私たちはベルリンからローマへ行くのにまだ日本でも乗ったことのないLCCというものを使った。地上階にある搭乗口に真正面から向かってくる飛行機や、日本の新幹線の清掃ばりにスピーディに機内…

ベルリン、ローマ、ヘルシンキ(つまりは、熊と、狼と、熊)

去年の秋にベルリンとローマとヘルシンキにいってから、ずっと、ずっと、どこからこの10日間の長い旅について書けばいいのか、書こうか、書くのか、私は、書きたいのか?うじうじと迷っていた。 外国を旅行するのは、とてもひさしぶりのことだった。外国を旅…

半年ちょうど

金曜日 初台デニーズ金曜日 ヘルシンキ土曜日 ベルリン水曜日 ローマ月曜日 東京(残暑のさいごの悪あがき)火曜日 新富町火曜日 とこちゃんち土曜日 ゴールデン街水曜日 渋谷駅東横線ホーム(85年分のさよなら)日曜日 官邸前日曜日 海歩いて歩いて歩いてた

きょうの風景(8/18)

朝目を開けると、白い、粒の大きい雨がどさどさ降っていた。ベッドに伸びたまま、白いなー、粒でかいなー、と、しばらくベランダを眺めた。神鳴りがひっきりなしに鳴って、稲光の閃光がカメラのフラッシュのようにバチッと目にはいってきたので、思わず目を…

きょうの風景(8/5)

炎天下の駅前で、くわえ煙草で日傘を直している猫背のお婆さん。下北のDVDとゲームの中古品店で、ずっと電話に耳をくっつけている店員のお兄さん。夕方の暑さのなかで赤いTシャツに鉢巻きを巻いて店の入り口に立っている居酒屋のお兄さん。マンションの部屋…

きょうの風景(8/1)

日曜日にmujikoboで渡邊聖子さんの個展をみた。私は渡邊聖子さんの展示を、なんども見たことがある。でも、展示をみて、写真をみたのか部屋をみたのだったかわからない、とここまで痛烈に思うことができたのは、初めてだった気がする。写真をみにきたのだか…

きょうの風景(7/16)

馬車道での用事のあと、渋谷に戻ってくると、東横線の駅のホームまで、原発反対デモのシュプレヒコールが聞こえてきた。きょう代々木公園で原発反対運動の集会が行われたはずだと思って、私は駅から自宅まで、代々木公園を突っ切って歩いてみることにした。1…

点字とボンド(6/14)

仕事のあと、パソコンをひらいたまま、仕事をしていたその同じ机でひとりでビールを飲むという、贅沢で堕落的なことをしていると、机の上の棚に前から置いてある木工用ボンドのケースに、点字が打ってあるのに気がついた。グーグルさんの画像検索で点字の表…

きょうの風景(5/27)

自宅から代々木上原駅まで行く路の途中に細い私道ふうの急な下り坂があって、急な下り坂の急な下りぎわ、T字路を左に曲がる角に、家一軒ぶんの空き地がある。そこが空き地になってから、春も夏も秋も、茎が強くて葉もかたそうな、切ったら白い血がじゅっと出…

神様の庭は円い(5/19)

「タイム」で一緒に舞台に立った毛利悠子さんの個展を見に、東京都現代美術館へ行った。毛利さんの作品が入っているブルームバーグ・パヴィリオンというのは、美術館の前庭に設置された、離れのような建てもので、白いパキパキした、屋根だか壁だか見分けの…

きょうの風景(5/5)

満月と、月が楕円状の周期のなかで最も地球に接近するのが重なる日だった。23時に、日本の原子力発電所がぜんぶ停止するので、そのカウントダウンの集会が代々木公園でひらかれていて、おおぬきさんたちが出掛けているというので、どんなふうになっているか…

きょうの風景(5/8)

両国で「トルネード! 21人のキリヌキイラストレーション展」を見てから、会社に行くために大江戸線に乗った。私の前に、小さい子と大きい子を連れた母親が座っていて、三人は門前仲町駅で、小さい子はベビーカーに乗って、降りたのだけど、ドアが閉まる直前…

きょうの風景(5/4?)

夢で。 渋谷の、道玄坂のほうか、円山町の先のほうか、その辺りに、富士急ハイランドにあるジェットコースターみたいな高速道路ができていて、ぽかんとみていると、ヘアピンカーブを曲がろうとした乗用車やトラックが遠心力のなすがままに、ぽーん、ぽーん、…

官能的な演劇

俳優の仕事ってなんなんだろう。岡崎藝術座の演劇をみるといつもそのことを思うし、今回「アンティゴネ/寝盗られ宗介」をみて、ほんっと、なんなんだろ?と思った。俳優は、演出家の指示を受けて動く。やれ、と言われたことを受けいれる。すべてを受けいれ…

すごくよくてすごくダウナー

日曜日、チェルフィッチュの「現在地」という演劇作品を観た。劇中に出てくる台詞で「私、ふるさとって言葉の感触って、なめくじみたいだって思っちゃうの。」というのがあって、あまりにも的を射ている(つまり、私がふるさとということばに感じてる感触と…

音楽について(4/16)

「どんな音楽をききますか」と訊かれると困ってしまう。にも関わらず、同じ質問を私も人に対してする。私にとって、音楽は説明するのがとても難しい。アーティストの名前をお互いに知っていればいいけれど、それ以外のすべての場合には、それがどんな音楽な…

きょうの風景(4/8)

夜風の気持ちよくはいってくる部屋で、HIKARUの音楽をききながら、せいこさんと喋って、とうこさんといっぱい遊んだ。せいこさんの作ってくれた料理がぜんぶおいしかった。ウーウェンさんのレシピの白身魚の黒酢ねぎソース、うすあじの根菜スープ。せいこさ…

艸にも酒を(4/7)

晴れ。佃島を歩いた。勝どきから、清澄通りをずっとまっすぐ、ときどき脇道を縫いながら、門前仲町まで。 あとになって、どうして同じ島に「月島」と「佃島」があるのかと思って調べたら、佃島のほうが全然歴史が長いのだった。佃島は大阪の佃村のひとたちが…

きょうの風景(3/17)

国立へ髪を切りにいって、ブルックリンに行きたくなった。いつも、店のよしださんと、外国の話をする。よしださんはいまはイタリアへ激安インテリアを調達しに行きたいらしく、イタリアの名を連呼していた(それがとっても、かわいかった)。ヨーロッパのイ…